「六ヶ所村ラプソディー」「送還日記」

昨日と今日と、続けて2本のドキュメンタリー映画を観ました。

六ヶ所村ラプソディー」 監督:鎌仲ひとみ
http://ameblo.jp/rokkasho/theme-10000529684.html
青森県六ヶ所村に建設された使用済み核燃料再処理工場は、今、2007年の本格的な稼働に向けて、ウラン試験の段階にあります。建設が始まった当初、地元住民の反対運動は激しく、国や県側との話し合いの場も持たれました。しかし、再処理工場の建設が終了し、実際に目の前に工場が現れてまうと、次第に反対していた住民も諦め、受け入れ始めました。そこには過疎地住民のもつ“事情”も関係しています。
この映画は、核燃料再処理工場を巡る住民達の思いと行動の2年間の記録です。

監督の鎌仲ひとみさんも上映前の講演でおっしゃっていましたが、テーマは再処理工場関連の公害ではありません。地元住民の思いと行動、「どう生きるか」と言う選択の話しです。反対派の抱える問題は、単に再処理工場に関する物だけではありません。反対運動が冷えてしまった地域で活動しつづける事で、周りからは「変人扱い」され、家族や子供の立場を考えて活動をやめてしまった人もいます。その一方、他の地域で活動している人の中には、中立の立場をとって来たものの「中立と言うのは賛成していると言うことだ。言い訳をつくっているにすぎない」と反対の意思表明をし始める人もいます。
この映画には反対派だけではなく、賛成派、そして無関心の人々も出てきます。それぞれの事情を抱えつつ、電気エネルギーを使う日本人全ての問題に、六ヶ所村の人々は現実として向き合わなければならないのです。そして再処理工場から放出される放射能が、青森県の、東北地方の農産物にどういった影響を及ぼすのか、日本人全体につきつけられる日が来るかもしれません。


送還日記」 監督:キム・ドンウォン(韓国)
2000年9月に「非転向長期囚」の63名が北朝鮮に送還されました。この映画は、1992年に監督が「北のスパイ」として長期間刑務所に投獄されていた老人と出会うところから、彼らが送還されるまでを記録したものです。

私は、まだこの映画を自分の言葉で表現する事ができません。ちょっと整理をしてから感想を書きたいと思いますが、とりあえず紹介したいのでチラシの一部を転載します。
『30年以上ものあいだ囚われ、歴史に翻弄された老人達。家族や兄弟達と会うことができず、釈放後も韓国社会の中で、孤高で複雑なその人間性を守り通してきた人達。キム・ドンウォン監督は、カメラで寄り添いながら、彼らの純粋な心から、涙で磨かれた宝物を受け取っていく。12年間の長期取材は、老人達の北朝鮮への送還で中断する。生きている間には二度と会えないだろう老人達は、ビデオレターで、キム監督を息子のように感じていたと告白する。キム監督は再会を諦め、本当の父親のような彼らの姿を胸に編集を始めるのだった…。』

韓国ではかなりヒットしたらしく、韓国で最も売れている映画雑誌「CINE21」10周年記念号で過去10年の映画ベスト1を受賞したそうです。この作品は、もちろん「親北」では無いけれど「反北」でも無い。過去の韓国政府を批判したくだりもあります。本来は日朝より南北関係の方が深刻であるはずですが、はたして日本はこの映画をどう評価するのでしょうか。“北のスパイ”を人間として扱い親交を深める韓国人を、その上で非転向を貫き送還されていった北の人達を、日本人はどう判断するのでしょうか。そう判断する自分たちを、日本を振り返ることはあるのでしょうか。この映画の行く末を追っていたいと思っています。


嬉しいような、悲しいような、複雑だな〜と思ったのが、どっちの映画でも知り合いがスタッフをやっていたり、観に来たりしたいたのです。結局、この手の映画を観に来る人、関わる人は同じエリアにいる人達なんですよね。観る人は観るし観ない人は観ない。もっと観ようぜ〜。


違う話を、もう一つ。
仲良くさせて頂いてるアイススレッジホッケー(座ってやるアイスホッケー)日本代表選手団が、パラリンピック出場のために、今日成田を出発しました。12日(日本時間)に初戦だそうです。結構、観てても面白いですよ。応援してやってください。