“楽しみ”の力

 情報番組のインタビューで、旅館等の新しい料金システムを作った「四季リゾーツ」社長が『人間は絶対娯楽が必要なんですよ』と答えていました。事業PRの前に、その一言が編集されていたのですが、これがこの事業主の企業理念なのか、ただの前ふりなのか、担当ディレクターの意向か、はたまた後付けのキレイゴトなのか。意地悪く捉えると、「金儲けの手段でしかない」と思います。でも、その上で、やっぱり私はこの社長の言葉に共感します。『絶対娯楽は必要なんですよ』

 2000年夏、私は国際交流団体の専属映像制作者という立場で、東ティモールに行かせて頂きました。1年前の1999年8月に住民投票インドネシアからの独立を決め、これから国をつくって行こうとしている時期でした。ほんの10日間ほどの滞在でしたが、“国として成立していない”“法律が無い”“軍人が隣りにいる”状態というのは初めてで、「統治する、されている」とはどう言う事なのかを改めて考えさせられる日々でした。たんに原付二輪で道を走ると言う事でさえ、その道を走る人達の「暗黙の了解」の元で左側を走り、信号では(一つだけあったんです)赤で止まる。事故を起こしたとしても、暫定政府の暫定的な「決めごと」「常識的な判断」の元で処理されます。皆が「常識的な」判断、行動をすることで保たれる安全であり、生活であり、人権なのです。
 インフラの整備もまったく進んでおらず、唯一の“都市”ディリでさえ内戦時に破壊された下水道管がむき出しになってるような状態です。山間部にはインドネシア併合派の市民兵が、まだ潜んでいるという情報もあり、治安も安定しません。また、ハード面だけでなくソフト面も問題山積で、インドネシア軍人にレイプをされた女性への身内からの差別や、子供達が抱えるトラウマ、大人達の援助に頼る傾向、などなどなどなど。2000年夏当時、さまざまな問題があがっていました。

 そのような状況下、私が痛感したのは「“楽しみ”は人を動かす」という事です。一時期の極度の緊張状態からは解放されていましたが、緊張の次は未来に対する不安です。そう言った不安の解消の為の“楽しみ”、そして次のステップに進む為の“楽しみ”です。
 地元の青年達が中心に自警団をつくり、自転車でのパトロールをしていました。ほとんどが10代の青年達です。彼らに話しを聞くと、もちろん一番の目的は治安維持ですが、やはり自転車に乗って町を走るのが楽しいのです。娯楽施設もなければ遊ぶための道具も持たない彼らにとって、自転車はただの移動手段ではなく、非日常的な楽しみの一つになっています。楽しいからこそ、彼らは集まり、計画を立て、自転車に乗るために義務を全うします。この仕事が暗い倉庫内での荷物運びなら、外国製のピカピカの自転車でなかったら、彼らはあんなにも良い笑顔で積極的に活動してはいなかったかもしれません。でも、それで良いのです。楽しいと言う感覚が活動の継続に力を貸し、次に繋がって行くのです。
 海外からのさまざまな支援は入っており、多少なりとも安定した環境は整う方向に向いていましたし、教会でのミサも(東ティモールキリスト教信者が多い)再開されていました。しかし、国づくりという次のステップに進む為には、外国に頼るのではなく、神に祈るのでもなく、もっと積極的でアグレッシブな思考と活動が必要であり、その為には“楽しい”という感覚を実感し、それを持続させようと言う“欲”が必要なのではないでしょうか。
 
●基本情報はコチラ
外務省ー東ティモール
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/easttimor/index.html

●近況ならコチラ
特定非営利活動法人ピース ウィンズ・ジャパン(PWJ)
http://www.peace-winds.org/jp/F4/timor.html
(注)残念ながら私が雇われていたところでは無い(^^ゞ


 このように過去の情報をブログにアップする事が、価値のある事なのかは分かりません。情報としての価値はないでしょう。ですが、私の主観はどう判断されるのか、ちょっと試してみたくなりました。今後も、少しづつですが「過去ネタ」を掘り返して行こうと思っています。そのうち、このブログを訪れる人がいなくなれば辞めます…。今、PCの調子が非常に悪いのですが、環境が整い次第、当時撮影したビデオを静止画にして貼付けて充実させていくつもりですので、お付き合い頂ける方、よろしくお願いしますm(_ _)m

しっかし、ボキャブラリーが少ない。。。がんばります。